要 旨 著者らはアニミズム心性に関する一連の研究を通して、わが国ではアニミズム心性が幼児期特有の心性ではなく、児童から老年に至るまで全世代に共通したパーソナリティ特性であることを明らかにした。従来の発達研究ではアニミズム思考は幼児期特有の未熟な思考形態で、脱中心化が進むにつれて次第に消失していく思考と考えられてきた。 本論ではアニミズム心性が思考や認知能力の発達、さらには社会性や人格発達に伴って次第に低減するような未熟なパーソナリティ特性なのかどうかを、アニメ文化と関連づける中で論じた。その結果、アニミズム心性はアニメ文化と同様、未熟で幼児性の強い思考や感覚ではなく、成人が普遍的に所有する適応様式の一部分であることが示唆された。