甲子園短期大学紀要
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成瀬仁蔵の女子教育思想
女子教育と家政学の構想
永藤 清子
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2021 年 39 巻 p. 1-6

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抄録

成瀬仁蔵が書いた『女子教育』は1896年に発行された。成瀬は、女子教育の主義方針は、第1 に人として、第2 に婦人として、第3 に国民として教育することであると主張した。成瀬は、明治期の日本の女子教育は欧米諸国の女子教育の方法を取り入れているだけだと指摘し、日本における今後の女子教育の確立を提唱した。成瀬の女子教育の方針は、次の3 つである。 1 .普通教育に重点を置く。なぜなら女子が将来さまざまな境遇にあうかもしれないからである。そのために一人の人間として力をつけることが必要である。成瀬は社会の発展のために女子の力を期待した。 2.女子が生まれつき持っている能力を出す教育。成瀬は、女子が内外の知識を学び、新しい家庭の創造を期待した。 3 .国民としての義務を全うするための資格を養う。 成瀬は、日本の女子高等普通教育は、智育を軽視して実用教育の重きを置いていると考え、そのため、女子の智力・学識が不完全だと批判した。そこで彼は、高等普通教育の修業年限を長くすること、高等女子教育の年限を4 年間にすることを提案した。さらにその後3 年間の最高の教育を受けるための大学設置を検討した。その一つとして、家政学部を検討し、国力発展の基礎となる家庭生活の向上を期待した。成瀬の女子教育思想の根底には、早く欧米に追いつき、肩を並べて競争できる国家に発展させたいという強い思いを見ることができる。

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