ことば
Online ISSN : 2424-2098
Print ISSN : 0389-4878
個人研究
ジェンダーに関わる表現「女子力」についての考察
―「女子力」を巡る記述における言語標識を中心に―
馬 雯雯
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2019 年 40 巻 p. 90-105

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抄録

本研究は「女子力」を巡る記述における言語標識に焦点を当て、「女子力」ということばを考察するものである。分析に際し、まず、「女性」「女子」「女の子」に接尾辞の「らしい」「っぽい」が結び付いた言語標識を軸に、「女子力」にみられるジェンダーの要素の分析を試みた。そして、「できる」「優れている」「得意」「上手」といった動詞および形容詞を軸に、「女子力」にみられる能力の要素を探ってみた。その上で、「女子力」の使用の様相について男女別に分析を試みた。「女子力」は「女性らしさ」を構築する動的なプロセスを可視化し、「女性らしさ」のありかを示していることばである一方、「能力」としてその形式の「女子」に表われるジェンダーの境界線を越え、「男性」のジェンダー領域にも入っていることばであること、「女子力」の使用において、女性はそれを「ほめ」の効果のあることばとして同性に使うが、男性はそれを「冗談としてのほめ」の効果のあることばとして同性に使うことを明らかにした。

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© 2019 現代日本語研究会
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