本稿では日本語の[A+A]型複合形容詞を扱い、『分類語彙表』のコード化された意味概念に基づいて、[A+A]型複合形容詞の意味構造および成立条件を考察した。具体的には、複合形容詞と前項あるいは後項形容詞の『分類語彙表』の番号の一致度から、意味的な主要部を前項か後項かに特定できる「優勢型」とそれを特定できない「等価型」とに分類できた。さらに、複合形容詞全体の意味概念が前項か後項かどちらと一致するかにより、「優勢型」を「左側優勢型」と「右側優勢型」に細分した。そして、前項・後項それぞれの意味概念の一致度により、成立条件として、「等価型」では「構成要素が同質/類質」、「左側優勢型」では「構成要素が異質/類質」、「右側優勢型」では「構成要素が同質/異質」を導き出した。また、この3つの成立条件の間には連続性が見られるということも提起した。