2013 年 56 巻 p. 91-98
本稿では、地方圏の乗合バスについて、1985年度から2009年度までの県別のパネルデータを整備し、需要関数を推計する。この結果、バスの需要は、運賃や所得、バスのサービス水準などが影響していること、乗用車がバスの代替手段として影響を与えていることなどが明らかになる。バス需要の価格弾力性は、絶対値が1より小さく、規制緩和前後からの運賃引下げ局面では弾力性が低下する傾向にあるが、今後、バスという公共交通利用を促進すると言う観点からは、バス事業単体として増収が見込めるものではなくとも、公的な助成も活用した運賃の引下げ、バスのサービス水準の向上が政策課題となる。