2016 年 59 巻 p. 221-228
現在、フランスや韓国、アフリカ諸国等で航空券連帯税が導入されている。航空券連帯税は、航空運賃に対して一定額の税を賦課して、その税収の一部または全部をHIV・結核・マラリアという感染症で苦しむ発展途上国に医薬品を提供するなどの支援に利用される税制である。各国での運用形態は様々であり、課税額(税率)などは同一ではないが、税収の使途は、主にUNITAID(ユニットエイド)という国際機関に拠出されている。 航空券に課税される目的は、消費税の中立性、グローバリゼーションの恩恵の2点が要因と考えられる。しかし、受益と負担の関係を明確にするものではなく、この点に関して説明力は弱い。航空券連帯税を課税するならば、まずは観光への影響はあるのか、航空会社の国際競争力が低下するのかといった点について検証することが求められる。その上で、受益と負担の関係性を明確にし、課税権はどこに属するのか、税収の使途に対する旅客の理解を得られるのかといった部分で国内におけるコンセンサスを得ることが必要であると考えられる。