2018 年 61 巻 p. 157-164
本稿では、湧口(2001a)が整理・分析し、実際に計測した「オプション価値」に関する議論を再検討するとともに、主に2000年代以降に蓄積された交通サービス、環境分野での計測事例や、オプション価値と利用価値との関係に関する知見、リアル・オプション研究のなかで培われた確率変化と事業価値の変化との関係に関する知見を考慮しながら、「オプション価値」の理論的な意味を検討した。その結果、アンケートで複雑な質問を設定し厳密に「オプション価値」を計測しなくとも、単純に「オプション価格」を問うことで「オプション価値」を近似できる可能性を指摘した。