抄録
空港の活動は規模や利用者の特性によって異なるため、非航空系収入が全体の収入に占める割合も自ずと違ってくる。また、航空系活動、あるいは非航空系活動のどちらでより多くの収益を追求するかという問題は、空港経営の意思決定において重要であり、空港の生産活動全体の効率性にも影響を与える要因の一つと考えられる。本研究は、収益構造に焦点を当て、航空系活動と非航空系活動が実際には別の主体が運営している国管理空港を仮想的にひとつの活動主体と捉えて、空港全体の活動について効率性を計測し、非航空系収入比率との関係について考察することを目的とする。旅客と貨物の複数生産を行う空港の活動を産出距離関数で表し、確率的フロンティア分析によって推定を行う。分析対象期間は2012年から2015年の4年間で、国管理空港19空港を分析対象とする。推計の結果、効率性と非航空系収入比率の限界効果は非単調なU字型の関係となっており、非航空系収入比率が約47.6%で最も非効率性が高くなることが示された。