交通学研究
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アメリカ航空輸送産業におけるジョイントベンチャーと費用効率性の関係
矢田部 亨
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2020 年 63 巻 p. 31-38

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抄録

航空輸送市場で総輸送シェアを大きく拡大してきている新たな事業体がある。それは、ジョイントベンチャー(JV)と呼ばれる共同事業体である。JVとは、異なる航空会社間で特定の路線における協力体制を形成する事業体を指す。これまでのグローバルアライアンスがさらに深化した提携で、航空会社間での施設の共有、スケジュールの調整や運賃の共通化が可能である。これらを通して旅客の利便性を向上する一方で、競争の優位性を獲得することや競争から協力への変化による、競争圧力の低下が考えられる。ジョイントベンチャーが競争に及ぼす影響について費用関数の視点から検討する。アメリカの航空産業を対象に、JVと費用効率性の関係について分析を行った結果、JVが航空会社の費用効率性を損なう可能性が指摘された。これは、JVが競争圧力を低下させてしまう可能性を示唆している。

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© 2020 日本交通学会
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