脳損傷後の機能回復は,障害により困難になった日常生活活動の再獲得に重要である.近年,損傷を免れた神経回路の再編が運動機能の回復に重要であることが報告され,リハビリテーションの効果が広く認知されてきた.我々は脳損傷モデルマウスの研究において,ランニングホイールを用いた自発的運動が皮質脊髄路の神経発芽や機能回復を増大させることを明らかにしてきた.しかし,自発的運動のどのような要素が機能回復に有効であるか不明であった.本研究では,マウスの自発的運動における運動量と昼夜の活動リズムを算出し,機能回復に及ぼす影響を解析した.脳損傷前後に自発的運動を実施した運動群では,非運動群と比較し有意な機能回復が示され,損傷後の運動量と正の相関が認められた.一方,活動リズムと機能回復との間に相関は認められなかった.本研究によって,脳損傷モデルマウスの運動機能回復には損傷後の運動量が重要であることが明らかになった.