東海・東南海・南海地震の発生が懸念されているがこれに伴う津波により近域港湾では水位上昇と水平流れが同時に起こる。これにより湾内航行船舶は漂流し,バース接触や余裕水深が小さい浅水域では水位低下時の触底など予想外の挙動を示すことが考えられる。この津波来襲時の船舶漂流挙動については従来検討が行われておらず,その解析評価を行うことは津波による港湾災害の評価及び対策の検討のための重要な課題である。本研究では津波による船舶漂流現象の初期検討として,バース近傍にある大型タンカーが津波の来襲を受けた場合を例として漂流挙動シミュレーションを行い,今後の研究課題の方向性絞り込みに資する基礎的なデータを整備した。