フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
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論文
大学進学女性における専攻分野多様化の階層的背景
―SSM調査データによる分析―
山本 耕平
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2019 年 18 巻 p. 88-101

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抄録

女性の四年制大学進学率の上昇とともに、従来は女性比率が低かった分野に進学する女性も増加し、大学進学女性の専攻分野は多様化している。本稿はこうした専攻分野の多様化の背景を探るために、出身階層と専攻分野の選択との関連について、調査データにもとづいて検討することを目的とする。女性の比率が低い分野を選択するのはどのような女性であるかについて先行研究の知見をまとめ、女性の専攻分野選択には地位表示機能への投資と地位形成機能への投資という2つの投資行動が含まれており、出身階層の高低と学力によってどちらに投資をするかが分岐する、という統合市場モデルを提示し、2005年・2015年SSM調査データによって検証をおこなった。専攻分野を従属変数、コーホート、出身階層と親の学歴、15歳時の家庭の資本、中3時の学力と出身高校のランクを独立変数とする多項ロジスティック回帰分析の結果、教育・理工・医学への進学はブルーカラー出身であることと、社会科学への進学は非大卒層出身であることと関連しており、統合市場モデルを一部支持する結果が得られた。近年の大学進学女性における専攻分野の多様化の一部は、もともと人文系以外の専攻に進む傾向が強かったマニュアル層・非大卒層出身者が増えたことによる、ということが示唆された。

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© 2019 関西社会学会
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