2024 年 23 巻 p. 47-55
在日朝鮮人女性に関する社会学的研究は、民族とジェンダー、階級等の交差による特有の抑圧構造や、そのような状況下で表れるエージェンシーを検討し、男性中心的な民族運動や研究、あるいは日本人女性中心の主流フェミニズムに対し問題提起を行ってきた。在日朝鮮人女性とは、人種エスニシティ、ジェンダー、階級、国籍、セクシュアリティなどが相互に作用するメカニズムを明らかにするための分析カテゴリーであり、女性たちが受けてきた複合差別を提起する運動カテゴリーでもある。本稿では、インターセクショナリティを分析視角とする在日朝鮮人女性研究が提起してきた論点として、交差的抑圧構造、植民地的家父長制、ケアを軸とするコミュニティ・アクティビズムを取り上げる。