抄録
露地ギクで発生するアブラムシ類の省力的な初期防除対策として,ジノテフラン顆粒水溶剤を定植直前にセルトレイ苗にかん注した場合 (セル苗かん注) と,定植直後に土壌にかん注した場合 (土壌かん注) の防除効果を検討した。その結果,無処理区と比較して,セル苗かん注では定植後5週間程度まで,土壌かん注では定植後6週間程度まで,無翅アブラムシ類の寄生が有意に少なく,防除効果があると考えられた。両かん注処理は苗の活着やその後の切り花品質に影響がなく,また作業時間についても,セル苗かん注は,対照とした定植時の粒剤植穴処理に比べ9割程度短く,処理労力の軽減が図れるものと考えられた。以上のことから,露地ギクにおける定植時の殺虫水溶剤のかん注処理は無翅アブラムシ類に対して初期防除効果があり,省力的かつ低コストな初期防除技術であると考えられた。