抄録
千葉県内各地において,萎縮病の病徴と思われる症状を呈しているナシ樹の主枝腐朽部から菌を分離し,分離菌がナシ萎縮病の病原菌Fomitiporia sp. (チャアナタケモドキ) か否かを培養菌叢形態および特異的なプライマー (鈴木ら,2012) を用いたPCR検定により調査した。その結果,県内14市町の22樹からの分離菌34菌株のうち,29菌株は菌叢形態からFomitiporia属あるいはその近縁種と判断され,このうち28菌株がPCR陽性を示した。陰性を示した1菌株はFomitiporia属に近縁のFomitiporella属の1種と推定された。このFomitiporella属菌株とPCR検定を行わなかった5菌株が分離されたナシ樹におけるFomitiporia sp.の感染の有無については不明であるが,14市町21樹の主枝腐朽部から本菌が検出されたことから,Fomitiporia sp.は千葉県の主要ナシ生産地に広く分布していると推定された。