抄録
クビアカスカシバの産卵および加害状況の観察と,山梨県における被害調査を実施した。6月中下旬の野外環境下では,卵期間は11~12日間であった。また,室内試験において,孵化直後の幼虫を新梢切片に接種すると,翌日には多数の食入痕が観察された。ブドウ樹上の産下卵と幼虫の食入痕は,偏って分布しており,その分布は翌年も同様であった。野外で捕獲した雌成虫 (計4頭) は,捕獲後6~12日間生存し,生存期間中の総産卵数は74~752個,孵化率は82~91%であった。山梨県内のブドウ生産者を対象としたアンケートでは,「ピオーネ」および「巨峰」は,他の品種と比較して,被害が認められた率が高く,被害程度も高かった。