関東東山病害虫研究会報
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他樹種に存在するFomitiporia sp.のナシ萎縮病の伝染源としての可能性
金子 洋平塩田 あづさ鈴木 健鈴木 達哉幸 由利香
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2014 年 2014 巻 61 号 p. 56-59

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抄録
ナシ萎縮病の病原菌はFomitiporia sp. (チャアナタケモドキ) と同定され (金子ら,2011) ,スギ非赤枯性溝腐病の病原菌と同種であることが明らかとなった。また,本種はサワラ,コウヤマキ樹上にも子実体を形成する (服部ら,2010; 太田ら,2010) 。そこで,ナシ園外における本病の伝染源の所在を推定することを目的とし,スギおよびサワラ樹から採集したFomitiporia sp.菌株を用いて交配試験および接種試験を行った。スギおよびサワラ樹上に形成した子実体由来の各1菌株について,その単胞子分離系統をナシから分離した本種2菌株の単胞子分離系統と対峙培養させて交配試験を行った。その結果,ほぼ全ての組み合わせで交配し,生物学的に同一種であることを確認した。また,スギ,サワラの腐朽材部から分離され,子実体の形態的特徴からFomitiporia sp.と同定した菌株やrDNA ITS領域の塩基配列からFomitiporia sp.と推定した菌株をナシ樹に接種したところ,萎縮病の病徴が現れた。これらのことから,ナシ以外の樹種に存在するFomitiporia sp.もナシ萎縮病の伝染源となる可能性が示唆された。
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© 2014 関東東山病害虫研究会
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