ナシ疫病は,数年~十数年に一度多発生するが,危険度の予測技術は開発されていない。そこで,ジャガイモ疫病発生予察モデルを用いてナシ疫病予察モデルを作成した。モデルでは,日毎に気温,前5日間の降雨量,日照時間といった条件に応じた感染好適指数を設定し,その感染好適指数を1月1日から累積し,5月1日における累積好適指数が80を超えた場合を注意年,100を超えた場合を多発生年の警戒年とするモデルとした。そして,千葉県における過去の多発生事例とアメダス千葉観測所のデータとの整合性を概ね確認したので,「ナシ疫病予察モデル原型版」 (FPRS protorype: Forecasting Phytophthora Rot System prototype) として報告する。