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上松 寛, 井上 康宏
2015 年 2015 巻 62 号 p.
6-8
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
コムギ及びオオムギのムギ類黒節病に対する品種毎の罹病性程度を把握し,品種別の防除方法の検討や抵抗性品種の開発に使用する方法として,幼苗鞘葉接種法の利用可能性を検討した。国内のコムギ15品種およびオオムギ11品種に対する発病割合を調査した結果,コムギでは,1品種を除きすべての品種が85%以上の割合で発病した。一方,オオムギでは,80%以上の株が発病する品種がある一方で10%以下の株しか発病しない品種もあった。また,黒節病菌40菌株を発病割合の多かった「カシマムギ」と少なかった「すずかぜ」に接種した結果,両品種で発病が認められなかった4菌株を除く36菌株で「すずかぜ」より「カシマムギ」の発病割合が高かったことから,オオムギにおける発病割合に供試菌株による違いは影響を与えないことが示唆された。これらの結果から,オオムギでは幼苗鞘葉接種法によって黒節病罹病性の品種間差異を明らかにできる可能性が示唆された。
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越智 直, 櫛間 義幸, 井原 啓貴, 仲川 晃生, 寺本 敏, 橋本 知義
2015 年 2015 巻 62 号 p.
9-12
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Haematonectria ipomoeaeに対する太陽熱土壌消毒の効果について試験した。試験では土壌や接種罹病個体などから本病菌を特異的に検出するため,H. ipomoeaeのnit変異株を作出した。恒温処理による本病菌 (PDA 培養菌) の死滅温度条件を試験したところ,用いた6菌株全てで40℃以上の処理で一定時間培養すると死滅した。死滅までの積算時間は40℃で240時間,43℃で120時間であった。春作トマト栽培で本病菌 (nit変異株) による立枯病の発生を確認したハウス圃場2棟において太陽熱土壌消毒による菌密度低減効果を試験したところ,一部の処理区で検出限界 (1.0×101cfu/g乾土) 以下にならず,本病菌の大部分 (1.5×101cfu/g乾土程度まで) を死滅させるためには,40℃以上で398時間,43℃以上で309時間を越える積算時間が必要と考えられた。
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髙橋 真秀, 佐藤 侑美佳, 中田 菜々子
2015 年 2015 巻 62 号 p.
13-15
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Tomato yellow leaf curl virus (TYLCV) vectored by the sweetpotato whitefly Bemisia tabaci, is a major threat to tomato production. Recently, some tomato growers cultivate a TYLCV-resistant cultivar for control of TYLCV in Chiba Prefecture. The effect of the Japanese commercial resistant cultivar on TYLCV epidemiology has not been well understood. Therefore, the role of the TYLCV infected resistant tomato cultivar on viral acquisition and transmission by its vector was studied in a tomato grower’s greenhouse. The viral copy number in resistant tomato leaf was 1.4×107-5.6×108 TYLCV DNA copies per 1μg total leaf DNA. In line with the high copy numbers, viral acquisition rate of whiteflies obtained from the greenhouse was 85.7%. Furthermore, these whiteflies transmitted TYLCV to the TYLCV-susceptible cultivar. It is highly probable that the TYLCVresistant tomato cultivar could be the reservoirs for TYLCV.
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窪田 昌春, 東出 忠桐, 中野 明正, 安場 健一郎, 大森 弘美, 金子 壮
2015 年 2015 巻 62 号 p.
16-20
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
In a plant growth factory in Tsukuba, Japan, cucumber plants cultivated with spray hydroponics were wilted. The causal agent was identified as Pythium aphanidermatum based on morphological and genetic characters. Cucumber plants grafted onto squash plants as rootstocks escaped wilt in the factory, but were diseased when grafting points were infected by the pathogen. Eight major squash cultivars for rootstock for cucumber bred in Japan were not wilted after zoospores of the pathogen were mixed with the nutrient solution, however seven cucumber cultivars were wilted. Squash rootstocks would be available for suppression of Pythium root rot on hydroponic cucumbers.
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菅原 優司, 柴田 葵, 森田 琴子, 星 秀男, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
21-23
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Root rot of cucumber occurred on Hahajima in Ogasawara (Bonin) Islands in 2013 and 2014. The causal fungi isolated from the diseased plants were identified as Globisporangium (Pythium) splendens. Inoculation tests confirmed that this fungus was the causal agent of the disease. This is the first record of the disease in Japan.
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高野 純一, 小林 誠
2015 年 2015 巻 62 号 p.
24-27
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
2010年9月,イチゴ品種「なつおとめ」の夏秋栽培圃場の一部で,花器および果実にGlomerella cingulataによるイチゴ炭疽病が発生し問題となった。そこで花器および果実におけるイチゴ炭疽病に対し,殺菌剤7剤の予防効果を調査したがいずれも防除効果は低かった。次に,本圃への本病潜在感染株の持ち込みを防止することを目的に,育苗期における殺菌剤散布の回数と灌水方法の違いがイチゴ炭疽病の発病に与える影響を調査したところ,株元灌水区が頭上灌水区より発病度が低かった。また,薬剤4回散布区は2回散布区よりも発病度は低かったが,散布回数の効果は明らかでなかった。以上より,育苗期の株元灌水と薬剤散布により本圃への潜在感染株の持ち込みを低減することができると考えられた。
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酒井 和彦
2015 年 2015 巻 62 号 p.
28-30
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Burkholderia gladioliによって発生するネギ褐色腐敗病に対し,5月下旬定植,10月収穫の作型において数種の殺菌剤を用いた防除試験を行った。茎葉部散布剤では,土寄せ前のノニルフェノールスルホン酸銅水和剤 500倍液において,土寄せ直前の3回散布により,防除効果が認められたが年次間差が大きかった。粒剤では,プロベナゾールを含有する粒剤を用い,定植後の1回目および2回目の土寄せ直前の2回散布により防除効果が認められ,収量の向上にも有効であった。
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橫山 とも子, 牛尾 進吾
2015 年 2015 巻 62 号 p.
31-33
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
1995~2011年の千葉県における12月のネギべと病の発生の有無と気象との関係を解析した結果,8月の日最低気温の平均値と本病の発生との間には相関があり,本平均値で冬期の発生リスクを推定できることが示された。さらに,8~12月までの日平均気温が13~20℃で,1時間以下の日照かつ4mm以上の降雨の条件を満たす日の出現回数及び初出現日と本病の発生との関係は有意であり,この条件の日がネギべと病の感染に好適な気象条件であると考えられた。実際の本病の発生状況と発生確率および感染好適日の出現回数を解析した結果,発生確率が50%以上の年は,12月にネギべと病が発生するリスクが高い。このような年の発病を防ぐためには,9月末までに最初に出現した感染好適日直後に薬剤散布の必要がある。
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井上 康宏, 松浦 貴之, 畔上 耕児
2015 年 2015 巻 62 号 p.
34-36
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
アブラナ科野菜黒腐病に対するバクテリオファージ (ファージ) を用いた生物防除法開発に資する基礎的知見を得るため,2006年に関東東海地域の都県から分離したファージ47株と黒腐病菌75菌株,および1994年以前に日本各地で分離された黒腐病菌83株を用いてファージ感染型の類別を行った。その結果,2株のファージ (XcpSFC211,XcpGTB311) による溶菌の有無から3つの感染型に類別された。それぞれの感染型は日本中で分離されており,地域的な偏りは無く,また1圃場に複数の感染型が混在している場合があることも明らかとなった。
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山内 智史, 白川 隆
2015 年 2015 巻 62 号 p.
37-39
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Rhizoctonia blight of komatsuna (Brassica rapa var. perviridis) occurred in Ibaraki Prefecture on July, 2009.The causal agent was identified as Rhizoctonia solani AG-4 HG-I, and pathogenicity of this pathogen was moreprominent at relatively high temperature condition. We propose that R. solani AG-4 HG-I should be added tothe pathogens of Rhizoctonia blight of komatsuna.
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山内 智史, 佐藤 衛, 佐藤 文生, 白川 隆
2015 年 2015 巻 62 号 p.
40-43
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
In July 2009, yellowing and irregularly-shaped lesions on the leaves of komatsuna (Brassica rapa var. perviridis) were observed in a plastic greenhouse in Ibaraki Prefecture, Japan. The pathogen was identified as Hyaloperonospora brassicae based on the morphological features of conidiophores and conidia, the sequence of rDNA-ITS region and host range of the pathogen.
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酒井 和彦, 庄司 俊彦, 植竹 恒夫, 島田 智人
2015 年 2015 巻 62 号 p.
44-46
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
マメナシ台ニホンナシ品種「彩玉」接ぎ木苗またはマメナシ実生苗を供試し,根頭がんしゅ病の常発ほ場において銅水和剤を用いた防除試験を行った。定植直前に,苗木の根部を,銅水和剤 (塩基性硫酸銅 58.0%) 200倍液に1時間浸漬することで,本病の発生を大きく抑制できることが明らかとなった。また,同剤を重量比5%でチオファネートメチルペースト剤に混和し,根部に塗布して定植することでも防除効果が得られることが明らかとなり,本病の防除には銅水和剤が有効であると考えられた。
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金子 洋平
2015 年 2015 巻 62 号 p.
47-54
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
ナシ疫病は,数年~十数年に一度多発生するが,危険度の予測技術は開発されていない。そこで,ジャガイモ疫病発生予察モデルを用いてナシ疫病予察モデルを作成した。モデルでは,日毎に気温,前5日間の降雨量,日照時間といった条件に応じた感染好適指数を設定し,その感染好適指数を1月1日から累積し,5月1日における累積好適指数が80を超えた場合を注意年,100を超えた場合を多発生年の警戒年とするモデルとした。そして,千葉県における過去の多発生事例とアメダス千葉観測所のデータとの整合性を概ね確認したので,「ナシ疫病予察モデル原型版」 (FPRS protorype: Forecasting Phytophthora Rot System prototype) として報告する。
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金子 洋平, 塩田 あづさ, 鈴木 達哉, 鈴木 健, 牛尾 進吾
2015 年 2015 巻 62 号 p.
55-59
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
千葉県内のナシ萎縮病罹病樹からナシ萎縮病菌Fomitiporia torreyae (和名: チャアナタケモドキ) の菌株を収集し,樹内,圃場内,県内の各規模において総当たりで対峙培養することでmycelial compatibility group (MCG) の分布状況を調査した。まず,樹内については11樹から各2~4菌株ずつを分離し,計40菌株についてMCGを調査したところ,1樹の事例を除き,同一樹から得た菌株は全て同じMCGに所属した。次に,同一圃場内の異なる樹から得た菌株 (5圃場26樹から各1菌株,計26菌株) は全て異なるMCGに属した。さらに,県内の異なる圃場から得た菌株 (12圃場から各1菌株,計12菌株) は全て異なるMCGに属した。以上のMCGの分布状況は,本病菌がほぼ有性生殖による感染拡大,すなわち担子胞子によって感染を拡大していることを示唆した。
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金子 洋平, 押田 正義, 塩田 あづさ, 鈴木 健
2015 年 2015 巻 62 号 p.
60-62
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
ナシ萎縮病菌Fomitiporia torreyaeによる腐朽の伸長が摘葉処理の影響を受けるか否かを爪楊枝接種法 (中村,2011) で調査した。2011年の試験では,対照苗における腐朽伸長は平均で12.6mmであったのに対し,全摘葉した苗における腐朽伸長は18.0mmであった。2012年の試験では,対照苗における腐朽伸長は平均で15.4mmであったのに対し,全摘葉した苗における腐朽伸長は21.0mmであった。両年とも全摘葉した苗で萎縮病菌による腐朽が有意に伸長した。
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塩田 あづさ, 金子 洋平, 鈴木 達哉, 鈴木 健, 中村 仁
2015 年 2015 巻 62 号 p.
63-66
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
ナシ萎縮病に対する品種間差の有無を調べるため,現地調査および接種試験を行った。「幸水」,「豊水」,「新高」を栽培している生産者への聞き取りによる発生調査では,萎縮病の発病は「幸水」が最も多く,「新高」が最も少なかった。現地圃場における「幸水」,「新高」の解体調査では,「幸水」では萎縮病に特徴的な腐朽が確認されそこから萎縮病菌が検出されたが,「新高」では特徴的な腐朽が認められず萎縮病菌も検出されなかった。「幸水」,「豊水」,「新高」,「あきづき」の苗木へのナシ萎縮病菌の接種により,「幸水」では病徴が再現されたが,「新高」では再現されなかった。また,接種によって生じた腐朽の長さは「幸水」が「豊水」,「新高」,「あきづき」より長くなった。これらのことから萎縮病の病徴発現および材質部の腐朽伸長には品種間差があり,「幸水」は他品種より感受性であることが明らかとなった。
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鈴木 健, 塩 田あづさ, 金子 洋平, 鈴木 達哉
2015 年 2015 巻 62 号 p.
67-72
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Little is known about Fomitiporia torreyae, a pathogen of Japanese pear dwarf. Therefore, we used the polymerase chain reaction (PCR) to develop a method for the specific detection of the pathogen in decayed wood. In the ribosomal DNA internal transcribed spacer (rDNA ITS) region, the degree of sequence homology between F. torreyae and related species was between 84 and 99%. We used the F. torreyae rDNA ITS sequence to design specific primers (FP-f1 and FP-r1) for detection of the pathogen. When the primers were tested with several isolates of F. torreyae and eight other basidiomycetes isolates, we obtained the expected PCR products (356 bp) only from the F. torreyae isolates. We then developed a method for the extraction of mycelial DNA from decayed tissues of infected trees. Samples were grated by using emery paper with a buffer containing 10% PEG and 0.35 M sorbitol, and the resulting DNA samples were used for PCR reactions. The sensitivity of detection was improved by the use of nested PCR reactions. Thus we were able to specifically detect the Japanese pear dwarf pathogen, F. torreyae, in decayed wood by PCR.
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森田 琴子, 菅原 優司, 蓑島 綾華, 星 秀男, 吉澤 祐太朗, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
73-77
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Fruit rot of atemoya (Annona × atemoya Hort. & Wester) occurred in Chichijima-island of Tokyo in December 2014. The pathogen isolated from the diseased pod was identified as Colletotrichum theobromicola based on morphological characteristics and molecular analysis of the rDNA-ITS, β-tubulin and actin regions. Inoculation test showed that the fungus was the causal agent of the disease. This is the first report of this disease in Japan.
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柴田 葵, 蓑島 綾華, 菅原 優司, 森田 琴子, 吉澤 祐太朗, 星 秀男, 廣岡 裕吏, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
78-82
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Cacao pod rot of Theobroma cacao L. occurred in Chichijima-island of Tokyo in 2014. The pathogen isolated from the diseased pod was identified as Colletotrichum tropicale based on morphological characteristics and molecular analyses of the rDNA-ITS, β-tubulin and actin regions. Inoculation test showed that the fungus was the causal agent of the disease. This is the first report of this disease in Japan.
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市之瀨 玲美, 西川 盾士, 森田 琴子, 柴田 葵, 吉澤 祐太朗, 荒金 眞佐子, 廣岡 裕吏, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
83-86
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Datura spp. are medical herbs used as raw material in products such as pain-killers. Since September, 2012, we have investigated diseases of the medical herbs in the Tokyo Metropolitan Medicinal Plant Garden and found leaf spots on Datura inoxia and D. metel. On the spots, Alternaria crassa was abundantly observed. In this study we confirmed the pathogenicity of A. crassa to three Datura species (D. stramonium, D. metel and D. inoxia) and proposed the name of leaf spot (Japanese name: rinmon-byo) for the diseases.
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森田 琴子, 市之瀨 玲美, 柴田 葵, 太田 智子, 荒金 眞佐子, 吉澤 祐太朗, 矢羽田 達朗, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博 ...
2015 年 2015 巻 62 号 p.
87-92
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Rhizoctonia rot of Chinese foxglove, beach silvertop and common soapwort, and southern blight of sand plantain and heal-all occurred at the Tokyo Metropolitan Medicinal Plant Garden in 2013 and 2014. The causal fungus isolated from each plant of Chinese foxglove, beach silvertop and common soapwort was identified as Rhizoctonia solani, while the fungus from sand plantain and heal-all was identified as Sclerotium rolfsii. The diseases were first reported on the plants in Japan.
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森田 琴子, 市之瀨 玲美, 柴田 葵, 吉澤 祐太朗, 荒金 眞佐子, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
93-96
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
In June and July 2013, Southern blight symptoms were observed on St John's wort, Japanese valerian, common verbena, fairy bells and chives in Kodaira, Japan. From each symptom, one fungus was isolated. Koch’s postulates were conducted by inoculating these healthy plants with the isolated fungi and indicated that the isolated fungi have pathogenicity to the plants. Based on detail morphological examination and ITS homology test, the pathogens were identified as Sclerotium rolfsii Saccardo. To our knowledge, this is the first report of S. rolfsii causing this blight on the five plants in Japan.
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笹井 裕里, 舘 彩香, 小沢 彩, 吉澤 祐太朗, 小野 文夫, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
97-100
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
In 2013, orange hawkweed, pincushion-flower, August-lily, potentilla, astilbe and prostrate speedwell were blighted in flower beds in Saitama, Japan. The pathogens isolated from each diseased plant were identified as Sclerotium rolfsii based on morphological observations and ITS homology test. This is the first report of the diseases in Japan.
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近藤 まり, 市之瀨 玲美, 森田 琴子, 菅原 優司, 小野 剛, 星 秀男, 竹内 純, 石川 成寿, 堀江 博道
2015 年 2015 巻 62 号 p.
101-105
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
Two severe leaf spot diseases were observed on Arabian jasmine and Elaeagnus × ebbingei in Japan. Fungal isolates were obtained from acervuli on these diseased leaves. Based on morphological and ITS sequence data, the isolates were identified as Colletotrichum tropicale on Arabian jasmine and C. siamense on Elaeagnus × ebbingei. This is the first report of Arabian jasmine and Elaeagnus × ebbingei causing Anthracnose in Japan.
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舟久保 太一, 横内 京子, 國友 義博
2015 年 2015 巻 62 号 p.
106-109
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
山梨県のルクリア生産ほ場で新梢や側枝,主幹部に褐変を生じ,枝や樹体が枯死する症状が多発し問題となっていた。罹病部から高率に分離された糸状菌を用いて接種試験を行ったところ,症状が再現されるとともに発症部から同一の菌が再分離された。本菌の形態学的特徴や生育温度及びrDNA -ITS領域の塩基配列からPhoma exigua Desmazièresと同定し,本病をルクリア枝枯病とした。本病の第1次伝染源について調査したところ,樹体上で越冬し第1次伝染源となる可能性が示唆された。特に,生長点の切除部分に高い頻度で感染していることが明らかとなった。
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平江 雅宏, 柴 卓也
2015 年 2015 巻 62 号 p.
110-115
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
水田においてヒメトビウンカの発生消長を簡易に調査するため,黄色粘着トラップの設置条件を検討した。その結果,設置する粘着板の上辺の高さをイネの移植直後は40cmに,その後は生育に合わせて草冠高より20cm程度低くなるよう調節することが適切であると考えられた。水田内におけるトラップの設置位置については,畦畔からの距離により誘殺数に大きな差は認められず,畦畔から1~20mの範囲で発生消長の調査に必要な個体数が誘殺されると考えられた。また,このような条件で水田内に設置した黄色粘着トラップにおける誘殺消長は,捕虫網でのすくい取りにおける捕獲消長とほぼ同様であり,有効積算温度による発生ピーク予測日とも概ね一致したことから,本手法は水田におけるヒメトビウンカの発生消長の把握に利用できると考えられた。特に,本種の本田への飛び込み時期にあたる6月において,本手法による誘殺数はすくい取り法による捕獲数よりも多かったことから,本手法は水田への侵入時期の把握に有効であると考えられた。
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小倉 愉利子, 藍澤 亨, 島田 景
2015 年 2015 巻 62 号 p.
116-118
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
フリー
群馬県内3地点の水田ほ場において,ヒメトビウンカに対する3種の育苗箱施用剤の防除効果を調査した結果,フィプロニル処理区ではヒメトビウンカの防除効果が認められず,ヒメトビウンカに対するフィプロニルの効果が低下していると考えられた。また,PCR-RFLP法により,GABA受容体RDLサブユニットのA2’N変異を有するヒメトビウンカが県内全域から検出され,フィプロニルに対して抵抗性を有する個体が県内に広く分布している可能性が示唆された。
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石崎 摩美
2015 年 2015 巻 62 号 p.
119-121
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
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Occurrence of second generation larvae and eggs of rice skipper was investigated on purple rice variety Purple rice of NARO Institute of Crop Science (Purple rice) and forage rice cultivar‘Momiroman’, latetransplanted in a paddy field. Number of eggs on leaves of the two varieties did not differ significantly, whereas number of larvae on Purple rice was significantly less than that on‘Momiroman’. Survival rate of newly hatched larvae was investigated by a laboratory rearing experiment using leaves of the two varieties. Half of the larvae on Purple rice leaves had left the leaves within 24 hours, whereas most larvae on‘Momiroman’leaves stayed on the leaves after 24 hours. It is possible that the Purple rice plant is not a suitable food for newly hatched larvae.
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春山 直人, 中澤 佳子, 松本 華苗, 福田 充
2015 年 2015 巻 62 号 p.
122-124
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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薬剤 (4成分5薬剤) のトマトポット苗への土壌処理による,タバココナジラミの殺虫効果とトマト黄化葉巻ウイルス (TYLCV) の媒介抑制効果について調査した。薬剤処理後,一定期間 (1時間,5日,15日,25日) が経過したトマトポット苗に,TYLCV 保毒タバココナジラミ (バイオタイプQ) を接種し,その後の感染株率を調査した。その結果,本試験の供試薬剤によるタバココナジラミの補正死虫率は処理5日後に高くなり,TYLCV 媒介抑制効果は15日後または25日後に高くなる傾向にあった。ニテンピラム粒剤およびジノテフラン粒剤では,薬剤処理の25日後であっても,保毒虫接種による感染株率はそれぞれ0%,4.2%と低く,他の供試薬剤 と比較して,媒介抑制効果および残効性に優れると考えられた。また,シアントラニリプロールでは,水和剤灌注処理25日後の感染株率は45.8%となり,15日後 (12.5%) と比べ約3.7倍に上昇していたのに対し,粒剤の株元処理では処理25日後でも感染株は増加しなかった。このことから,同成分では水和剤灌注処理と比べ粒剤処理の残効が長いことが示唆された。
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日本 典秀, 長坂 幸吉, 後藤 千枝, 小原 慎司, 手塚 俊行
2015 年 2015 巻 62 号 p.
125-129
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
ジャーナル
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Thrips-control ability of the mirid bug Nesidiocoris tenuis (Reuter) was investigated against Thrips tabaci Lindeman on cucumbers grown in greenhouses. In 2013, the cucumbers were transplanted in August, and the bugs were released three times with seven-day intervals at the density of 0.5 bugs per plant. In 2014, the bugs were released four times on the cucumbers transplanted in March in the same manner as in 2013. In both trials, the density of thrips on cucumbers was significantly reduced in the bug-released greenhouse.
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櫻井 民人, 冨髙 保弘, 安部 洋, 津田 新哉
2015 年 2015 巻 62 号 p.
130-132
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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ミナミキイロアザミウマThrips palmi Karnyによるメロン黄化えそウイルス (Melon yellow spot virus, MYSV) 媒介性を効率的に評価するための簡易検定法を開発した。この方法は市販の植物組織培養用プラントポット (72×72×200mm) を用い,そこに植栽したキュウリ幼苗に検定虫を隔離してその後の発病状況を観察するというものであり,特殊な機械や試薬を使わず簡易に多くの供試虫を処理することができる。この方法を用いて調査したミナミキイロアザミウマ成虫のMYSV媒介率は,株あたり1頭放飼では雌で23.8%,雄で31.0%であり,株あたり5頭放飼および株あたり20頭放飼ではすべての供試苗が発病した。株あたり1頭放飼処理について実施した供試苗のDAS-ELISAの結果は,本法で得られた媒介率の値と一致した。本法により,野外採集虫のMYSV媒介性や,ミナミキイロアザミウマの宿主である野菜・雑草類および育成したMYSV抵抗性品種の虫媒感受性等を簡便に評価することが可能である。
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吉澤 仁志, 櫻井 まさみ, 日戸 正敏, 石井 隆志, 漆原 寿彦, 森 光太郎
2015 年 2015 巻 62 号 p.
133-137
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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促成栽培イチゴにおいて,アカメガシワクダアザミウマ (以下,アカメガシワとする) 放飼によるアザミウマ類に対する防除効果を検討した。2013年2~5月および2013年11月~2014年5月の2回試験を実施した結果,アザミウマ類が未発生の条件で11月中旬および3月上中旬に各1回ずつ,計2回アカメガシワを放飼することで長期にわたり効果的にアザミウマ類を抑制できる可能性が示唆された。また,アカメガシワを放飼することにより,アザミウマ類に対する薬剤の散布回数を大幅に減らせる可能性も示唆された。
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横山 朋也, 佐藤 信輔, 鹿島 哲郎
2015 年 2015 巻 62 号 p.
138-140
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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イチゴに登録のある5種類の薬剤について,茨城県内にて採集した3個体群のヒラズハナアザミウマに対する殺虫効果をインゲンマメ葉片浸漬法により調査した。その結果,採集地点間で殺虫効果に差が認められ,園芸研究所 (笠間市) 内で試験ほ場に隣接せず,薬剤による淘汰圧の低い雑草地のシロツメクサから採集した個体群に比べ,鉾田市内および行方市内施設栽培イチゴから採集した個体群に対する殺虫効果は低かった。また,いずれの薬剤も,園芸研究所内個体群に対する殺虫効果は高かったことから,県内には一部薬剤に対して抵抗性の発達したヒラズハナアザミウマが存在することが明らかになった。
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井上 麻里子, 岡部 克, 小河原 孝司
2015 年 2015 巻 62 号 p.
141-143
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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茨城県内のコナガに対する薬剤の殺虫効果を明らかにするため,2014年11月に古河市,八千代町,鉾田市のアブラナ科露地野菜圃場からコナガ成虫を採集した。採集次世代のコナガの3齢幼虫を供試し,10種類の薬剤の殺虫効果をキャベツの葉片浸漬法により検定した。その結果,ジアミド系薬剤のクロラントラニリプロール水和剤,フルベンジアミド水和剤の殺虫効果は低かった。一方で,エマメクチン安息香酸塩乳剤,スピネトラム水和剤,スピノサド水和剤,カルタップ水溶剤,インドキサカルブ水和剤,BT水和剤は,採集地点に関わらず補正死虫率85%以上の殺虫効果が認められた。
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西村 浩志, 市川 貴大
2015 年 2015 巻 62 号 p.
144-148
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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ニラ栽培ほ場におけるネダニ類の発生由来は,本ぽでの残存および苗による持ち込みによると考えられる。本研究では栽培終了後に本ぽに残存するネダニ類密度を減少させる方法として,冬期の複数回耕うんによるネダニ類に対する密度低減効果を検討した。その結果,2回耕うんでは密度低減効果が不十分であるが,5回耕うんでは,慣行に比べてネダニ類の密度は低下した。また,5回の耕うんによりニラの残さ重量は小さくなった。このことから,冬期における5回の耕うんはネダニ類の耕種的防除法およびニラ残さの処理方法として利用できる可能性が示唆された。
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小澤 朗人, 内山 徹
2015 年 2015 巻 62 号 p.
149-152
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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In 2008 and 2009, we investigated the species composition of ladybird beetles and their seasonal changes in tea fields of Shizuoka Prefecture, Japan. The ladybird beetles were detected by three methods: yellow sticky traps in the tea canopy, SE traps on the tea canopy and beating the side of the tea canopy. Five tea fields in our research center and commercial fields were investigated. Pest management at these fields included various pesticide and non-pesticide control measures. Eight species of the ladybird were found; Chilocorus kuwanae Silvestri, Pseudoscymnus hareja (Weise), Hyperaspis japonica (Crotch), Harmonia axyridis (Pallas), Scymnus (Pullus) kawamurai (Ohta), Coccinella septempunctata Linnaeus, Propylea japonica (Thunberg), and Phymatosternus lewisii (Crotch). The dominant species were C. kuwanae, P. hareja and H. japonica. These three species are predators of scales, and the others seem to be predators of aphids. The peaks of C. kuwanae occurrence in 2008 were observed at the end of June, the beginning of August and mid-September. The peaks of P. hareja were observed from the end of August to the beginning of September, and H. japonica's peaks were observed at the beginning of June and mid-July. The number of C. kuwanae captured in the non-pesticide field was more than those in reduced pesticide and conventional control fields and the number of P. hareja captured in the reduced pesticide field was more than those in other fields.
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山﨑 大樹, 糸山 享
2015 年 2015 巻 62 号 p.
153-155
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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神奈川県川崎市の都市農業ナシ園において,土着カブリダニの発生消長と種構成を調査した。こうした市街地に点在する圃場においても多くのカブリダニ類が生息していることを確認し,その発生消長と種構成からハダニ類の密度抑制効果も推察された。本研究の結果が当該地域における土着天敵利用の可能性を示唆し,薬剤に過度に依存しない新たなハダニ類防除体系の構築に寄与することを期待する。
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庄司 俊彦
2015 年 2015 巻 62 号 p.
156-159
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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生物多様性の指標となり得る生物種の候補としてゴミムシ類が考えられている。しかし,埼玉県内のナシ園でのゴミムシ類の種類は不明であるため,2010年6月~12月までの間,埼玉県内ナシ園12園にピットホールトラップを設置して捕獲された地表徘徊性ゴミムシ類の種類及び数を調査した。捕獲されたゴミムシ類は12,928頭で31種類が同定可能であった。その内,セアカヒラタゴミムシ,ホシボシゴミムシ,コゴモクムシが優占種であった。また,園内の下草管理が捕獲個体数に影響することが認められた。
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加藤 綾奈, 星 秀男, 山口 修平, 小野 剛, 菅原 優司, 竹内 浩二
2015 年 2015 巻 62 号 p.
160-165
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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2009年4月,東京都青梅市のウメに発生したウメ輪紋ウイルス (Plum pox virus) の拡散防止を目的として,媒介虫であるアブラムシ類の発生消長を調査し,春季における防除対策を検討した。東京都青梅市における有翅アブラムシの飛来は,1~3月にはすでに認められ,その後,4~6月,7~8月,10月下旬~ 12月上旬の年3回のピークがみられた。ウメ樹上での寄生は,年2回大きなピークがあり,1回目は2月下旬に越冬卵から幹母の孵化により始まり,4月上旬より主にウメコブアブラムシの無翅虫が急増し,4月下旬からはムギワラギクオマルアブラムシの寄生が6月まで継続した。2回目は,10月中下旬に有翅アブラムシが飛来,産卵雌を産仔,その後飛来する有翅雄との交尾により12月上旬まで産卵が行われた。春季の薬剤防除では,4月から増加する無翅虫を対象に行われていた慣行防除に対して,幹母をターゲットに萌芽期から満開期 (3月上旬~3月中下旬) までの間に1回の散布を行うことで,最長で38日間アブラムシの寄生を低密度に抑制できた。また,4月下旬以降に葉巻き症状を引き起こす種に対しては,アセタミプリド水溶剤およびチアクロプリド水和剤の2剤が即効的かつ高い効果を示した。
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加藤 綾奈, 星 秀男, 山口 修平, 小野 剛, 菅原 優司, 竹内 浩二
2015 年 2015 巻 62 号 p.
166-170
発行日: 2015/12/01
公開日: 2017/02/13
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東京都で発生しているウメ輪紋ウイルスの拡散防止を目的として,秋季に産卵のためにスモモに飛来するアブラムシ類に対して3ヵ年で7種薬剤の防除効果を検討した。その結果,ネオニコチノイド系薬剤では,アセタミプリド水溶剤の効果が高く,2ヵ年の試験とも有翅・無翅虫合計の補正密度指数が概ね0.4~5.5と安定した殺虫効果を示し,秋季の防除薬剤として実用性が高かった。一方,同一系統であってもイミダクロプリド水和剤,チアクロプリド水和剤,ジノテフラン水溶剤は,有翅虫に対する効果がアセタミプリド水溶剤より劣り,実用性は不十分であった。また,ピメトロジン水和剤,ピリフルキナゾン水和剤,フロニカミド水和剤は有翅虫に対して効果が低かった。
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