2015 年 2015 巻 62 号 p. 9-12
Haematonectria ipomoeaeに対する太陽熱土壌消毒の効果について試験した。試験では土壌や接種罹病個体などから本病菌を特異的に検出するため,H. ipomoeaeのnit変異株を作出した。恒温処理による本病菌 (PDA 培養菌) の死滅温度条件を試験したところ,用いた6菌株全てで40℃以上の処理で一定時間培養すると死滅した。死滅までの積算時間は40℃で240時間,43℃で120時間であった。春作トマト栽培で本病菌 (nit変異株) による立枯病の発生を確認したハウス圃場2棟において太陽熱土壌消毒による菌密度低減効果を試験したところ,一部の処理区で検出限界 (1.0×101cfu/g乾土) 以下にならず,本病菌の大部分 (1.5×101cfu/g乾土程度まで) を死滅させるためには,40℃以上で398時間,43℃以上で309時間を越える積算時間が必要と考えられた。