2018 年 2018 巻 65 号 p. 139-143
2015年および2016年に東京都の主要なナシ生産地の22圃場から採集したナミハダニ黄緑型個体群に対し,雌成虫を対象に8剤,卵を対象に10剤の薬剤感受性検定を行った。その結果,雌成虫または卵に対して,採集した全ての圃場の個体群で補正死虫率が高く薬剤感受性が高いと判定された薬剤は,アセキノシル,ミルベメクチン,ビフェナゼート,スピロメシフェンであった。ピフルブミド,シエノピラフェンなど5剤は採集した圃場によって薬剤感受性に差が認められ,ヘキシチアゾクスに対する感受性はいずれの圃場でも低かった。年間の殺ダニ剤散布回数は地域によって異なっていたものの,薬剤感受性については地域間で大きな違いは認められなかった。次に,ナシ品種「稲城」において,葉の形状(葉の巻きの有無)の違いが薬液付着量に及ぼす影響を調査したところ,背負式動噴機,スピードスプレーヤともに巻いた葉ではそうでない葉に比べて薬液付着度が低かった。また,付着度指数が11段階中3以下になると,ナミハダニ雌成虫の死虫率が低下したことから,巻いた葉では薬液付着量が少なくなり防除効果が低下する可能性が示された。