2019 年 2019 巻 66 号 p. 106-109
栃木県における侵入害虫クビアカツヤカミキリの被害は,2017年6月に佐野市南西部のモモ園地のモモおよびスモモで初めて確認された。被害実態の把握と,今後の被害拡大の予測に資するため,2017年および2018年にモモ産地における全被害園地における被害樹調査を実施し,併せて被害の多いモモ園地において被害樹の樹齢及び主幹径と被害有無の関係を調査した。その結果,被害園地率は2017年には37%(35/95園地)であったが,2018年には76%(70/92園地)となり,1年で急速に拡大していた。また,樹木の主幹径及び樹齢は,ともに被害の有無と相関関係にあり,主幹径20.5 cmまたは樹齢8年となるとき,モモ樹の約半数が被害を受けると推定された。なお,モモ産地内のサクラでは被害はほとんど認められず,同一地域内に両樹種が存在する場合,サクラよりモモで被害がより生じやすいことが示唆された。