2019 年 2019 巻 66 号 p. 14-17
2014年4月~2015年2月,神奈川県湘南地域の藤沢市,茅ヶ崎市および高座郡寒川町のコマツナ生産ほ場において,未記録の障害が多発した。葉にやや黒みを帯び,やや凹んだ直径1 mm以下の小斑点を生じ,のちに大小不整形の病斑を形成する。罹病部から細菌が分離され,接種試験により病原性が確認された。分離株の細菌学的性状,16S rDNA塩基配列の相同性,宿主範囲,Repetitive sequence-based PCR(rep-PCR)による泳動パターン比較ならびにrpoD遺伝子の塩基配列解析結果により,分離株をPseudomonas cannabina pv. alisalensisおよびPseudomonas syringae pv. maculicolaと同定した。これら2種の細菌によるコマツナの病害は未記録であることから,コマツナ黒斑細菌病(Bacterial leaf spot)とすることを提案する。