関東東山病害虫研究会報
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(畑作物・野菜の虫害)
栃木県のイチゴ生産圃場における次世代型バンカー資材キットを用いたアブラムシ類に対する防除効果
八板 理 大野 茉莉春山 直人小林 誠福田 充長坂 幸吉伊藤 健司
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2019 年 2019 巻 66 号 p. 64-69

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抄録

イチゴ栽培で問題となるアブラムシ類に対して,寄生性天敵であるコレマンアブラバチおよびナケルクロアブラバチを用いた次世代型バンカー資材キットが開発されている。本資材キットは,アブラバチ2種のマミーと代替寄主のトウモロコシアブラムシをムギに定着させたバンカー型製剤,アブラバチ2種の混合マミー製剤,代替寄主のトウモロコシアブラムシをムギに定着させた代替餌付バンカー植物等から構成される。生産現場における防除効果を実証するため,2017年度に栃木県真岡市内の2地点にて現地試験を行った。調査区はバンカー型製剤を設置した“バンカー区”と生産者の慣行防除として市販のコレマンアブラバチのマミー製剤の放飼,または薬剤防除と市販のコレマンアブラバチのマミー製剤の併用のいずれかを行う対照区の2区を設け,アブラムシ類に対する防除効果を比較した。両地点の対照区では,ワタアブラムシの発生が認められ,局所的に多発株が見られたため,生産者の判断で防除が実施された。一方,両地点のバンカー区では,ワタアブラムシは作期を通じて低密度で推移し,またマミーの発生が認められたことから,本資材による密度抑制効果が働いたと考えられた。併せて栃木県農業試験場にて,混合マミー製剤および代替餌付バンカー植物を組み合わせた“組合せバンカー区”とバンカー型製剤を設置した“バンカー区”,無処理区の3区を設け,アブラムシ類に対する防除効果の比較を行った。組合せバンカー区では,ワタアブラムシおよびチューリップヒゲナガアブラムシの密度が無処理区と比較してバンカー区と同程度に抑制された。

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© 2019 関東東山病害虫研究会
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