2023 年 70 巻 p. 1-8
温湯処理と催芽時処理(醸造酢液剤,過酢酸液剤,タラロマイセス フラバス水和剤,トリコデルマ アトロビリデ水和剤(DJ))の体系処理は,イネばか苗病に対して,イプコナゾール・銅水和剤と比較して同等ないしやや劣ったものの総合的にみて高い防除効果が認められた。また,事前乾燥を取り入れた65℃・10分間または60℃・10分間の温湯処理による体系処理の比較では,いずれの体系処理でもほぼ同等の高い防除効果が認められた。発芽率に関しては,前年産の種子を使用する場合は問題ないが,2年以上前に採種した種子を使用する場合は,事前に発芽率の調査等が必要と考えられた。有機物含量の多い軽量培土は,粒状培土と比較して,イネばか苗病,イネもみ枯細菌病の苗腐敗症の発病に対して抑制的に作用し,特に苗腐敗症に対する発病抑制効果が高かったが,生物農薬の場合は,軽量培土の方が粒状培土よりイネばか苗病の発病が多くなった。本田でのイネばか苗病に対しては,温湯処理またはDJの単独での防除効果は低かったが,温湯処理は60℃,65℃ともDJと体系処理することでイプコナゾール・銅水和剤と同等の防除効果が得られた。