2023 年 70 巻 p. 9-14
サツマイモ基腐病は,糸状菌の一種であるサツマイモ基腐病菌(Diaporthe destruens)によって引き起こされ,日本のサツマイモの安定生産において大きな懸念材料となっている。Fujiwara et al.(2021)が開発したリアルタイムPCR法による基腐病菌の検出法は,高感度かつ特異的に本菌を検出できるが,診断現場への実装においては,誤診を回避することやDNA抽出工程の向上が不可欠であると考え,リアルタイムPCR法やDNA抽出工程の改良を行った。リアルタイムPCR法の改良点として,サツマイモDNAを標的とするプライマーを設計し,これを用いたPCRを行うことでDNA抽出とPCRが正常に実施されていることを判定できるようになった。また,既報の基腐病菌特異的プライマーによるPCRは,基腐病菌以外のサツマイモに感染しうる菌類のDNAを増幅しないことを確認した。さらに,DNA抽出工程における各操作方法を検討したところ,DNA抽出前の試料の洗浄や破砕方法を最適化することができた。本研究で改良した基腐病菌の検出法は本病の診断に利用できる。