2023 年 70 巻 p. 26-32
Sclerotium cepivorum Berkeleyが引き起こすネギ黒腐菌核病の防除のため,夏どり作型におけるピラジフルミド水和剤のセル成型育苗トレイまたはペーパーポット灌注処理の防除効果および散布との体系処理の適用について土壌消毒を実施しない圃場で検証した。ピラジフルミド水和剤は,定植当日の100倍液のセル成型育苗トレイ灌注処理によって,年末の植付けで,翌春に感染,発病適期になる夏どり作型において優れた防除効果を示した。本剤のセル成型育苗トレイ灌注処理により,ネギ茎盤部および茎盤部近傍葉鞘部では,病原菌の感染を抑制したが,感染前の3月下旬までに2,000倍,300 L/10 aを追加散布することで,茎盤部上部の軟白葉鞘部への感染も抑制し,さらに安定した防除効果が得られることを確認した。