関東東山病害虫研究会報
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畑作物・野菜の虫害
圃場内および圃場間のレンコンネモグリセンチュウHirschmanniella diversa(Rhadbitida: Pratylenchidae)の汚染拡大要因
高木 素紀 鹿島 哲郎
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2024 年 71 巻 p. 50-54

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抄録

レンコンネモグリセンチュウ(Hirschmanniella diversa,以下レンコンネモグリ)は,ハスの商品部位であるレンコンを加害することにより商品価値を落とすため,レンコン生産上最も問題となる病害虫である。レンコンネモグリの圃場内での汚染拡大要因として,掘り取り時にレンコンネモグリを含んだ土壌等が分散することが考えられた。そこで,掘り取り時および掘り取り3週間後に採取した田面水中の沈降物を調査したところ,掘り取り時にレンコンネモグリが検出された一方,掘り取り3週間後の沈降物からはほとんど検出されなかった。そのためレンコンネモグリの圃場内での拡大は,掘り取り時の土壌および浮遊ハス細根などによって起きる可能性が高いと考えられた。一方,県内一部圃場で実施されているハス田の用水循環システム,“循環灌漑”によりレンコンネモグリの圃場間汚染拡大が生じる可能性が指摘された。そこで2012年,最も用水の流量が増加する掘り取り最盛期に,循環灌漑システムの様々な場所から田面水等をサンプリングして調査した。その結果,各集水部および揚水機場付近の水,土壌およびハス細根からレンコンネモグリが検出された。一方,水口から吐出される循環した用水からはレンコンネモグリは検出されなかった。以上のことから,循環灌漑によってレンコンネモグリが下流から上流に戻って圃場間移動する可能性は低いと考えられた。しかし,掘りとったばかりの浮遊細根にはレンコンネモグリが残存している場合があるため,これらの圃場流入には注意する必要がある。

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