2024 年 71 巻 p. 60-65
2021~2023年にかけてイチゴ品種「恋みのり」「よつぼし」「とちおとめ」等について,9月下旬から5月まで有機土耕栽培を行うとともに,5月から9月下旬までは有機ポット育苗を行った。本圃,育苗それぞれでアブラムシ類の発生調査を行った結果,ワタアブラムシ発生量はイチゴ品種により異なる傾向がみられた。調査したいずれの年でも「恋みのり」は他の品種より比較的ワタアブラムシ発生が少なく,有機栽培に適した品種であると考えられた。次に,「恋みのり」,「よつぼし」,「とちおとめ」の葉を用いた室内試験でワタアブラムシおよび別の主要害虫種であるイチゴケナガアブラムシの増殖率を調べた。25℃,16L-8Dの環境下で個体別に生存率と産仔数を記録し内的自然増加率を求めた結果,ワタアブラムシの増殖率は「よつぼし」で高く「恋みのり」と「とちおとめ」では有意な差がなかった。一方イチゴケナガアブラムシの増殖率は「恋みのり」で有意に低かった。この結果は圃場観察結果と矛盾はしないが,圃場で観察された品種間差を説明するためには,アブラムシの増殖に関わる葉の栄養的・化学的要因等以外の他の要因も大きいと考えられた。