2024 年 71 巻 p. 8-15
土壌伝染性のイネ稲こうじ病に対して土壌改良資材(転炉スラグ,生石灰)とシメコナゾール粒剤の単独処理及び体系処理の効果を単年と連用で検討した。試験は2017~2021年に長野県北部の黒ボク土で実施し,2017年は多発生,2018~2020年は少発生,2021年は中発生であった。2017~2019年に実施した単年の防除価は土壌改良資材で0~37.0,シメコナゾール粒剤で37.1~73.9,体系処理で52.2~69.9であった。このうち,発病に影響する出穂期前30日間の降雨が極端に少ない2018年は資材単独処理による効果が認められなかった。要因解明のため,ポット試験により無降雨条件下で転炉スラグ処理によるイネの出液速度と穂での病原菌の検出率の関係を検討したところ,転炉スラグ処理で出液速度は上昇する傾向で検出率が増加した。このため,出穂前の降雨が少ない年次は転炉スラグによってイネ体の出液速度が高まることで感染を助長する可能性が考えられた。2019年から開始した連用試験において,連用3年目の2021年の各処理の防除価は土壌改良資材で43.2~47.4,シメコナゾール粒剤で70.2~72.9,体系処理で77.2~88.9と高い効果が得られた。以上の結果から,土壌改良資材またはシメコナゾール粒剤の単独処理では防除効果が低いか不安定であるが,体系処理とすることで防除効果は高まり,連用することでさらに防除効果は高まると考えられた。