トマトキバガは,南米原産のトマトの大害虫で,2006年に欧州に侵入後,アフリカや中東,アジアへと急速に分布を拡大し,トマト栽培に深刻な被害をもたらしている。その分布拡大には,トマト果実などの農産物の流通が関与したとされている。本種はキバガ科に属する微小なガで,幼虫がトマトの葉に潜って食害し収量に影響を与える他,果実に食入して品質の低下をもたらす。多化性で休眠性はなく,南米では年10~12世代を経過するとされている。野生寄主植物としてイヌホオズキなどのナス科植物についての報告があるが,国内では野生寄主植物をほとんど確認できていない。防除対策として,国内では2023年7月から登録された農薬を用いた防除が可能となった。一方で,海外ではジアミド系やピレスロイド系,スピノシン系など複数の薬剤で抵抗性の発達の報告があり,国内で発生した個体群においても注意を要する。天敵に関する報告が原産地や欧州などで多数あり,欧州ではタバコカスミカメなどを用いた生物的防除技術が開発・実用化されている。日本においても,今後,生物的および物理的防除技術を組み合わせた総合防除技術を開発する必要がある。