2000 年 2000 巻 47 号 p. 105-108
従来, 神奈川県では信太による越冬記録しかなかったイチモンジセセリが県西半部, チャバネセセリが県南半部において, 両種とも低地から山麓にかけて越冬あるいは越冬可能なことを, 自然状態に近いポット試験および現地調査により明らかにした。両種幼虫は, 集落周辺で日当たりのよい田畑の畦・土手, 休耕地, 谷地田の畦畔, 河川堤防等に形成されたイネ科雑草群落で越冬していた。越冬場所で行われる除草, 耕うん, 野焼きなどの農作業は期せずして, 寒さに動きを封じられた幼虫を駆除しており, 両種の越冬世代成虫が極端に少ない理由はこの点にも起因すると考えられる。