関東東山病害虫研究会報
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山梨県のシクラメン圃場におけるインパチェンスネクロティックスポットウイルス (INSV) の多発要因と防除
佐幸 歌菜河野 敏郎櫻井 民人津田 新哉玉井 重則天野 絵美國友 義博
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2006 年 2006 巻 53 号 p. 77-82

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抄録

山梨県下のシクラメンえそ斑紋病慢性発病圃場において, インパチェンスネクロティックスポットウイルス (INSV) 多発要因を調査し, 本病の総合防除体系を検討した。圃場内で確認されたINSV感染植物を同じく山梨県で採取したミカンキイロアザミウマ幼虫に摂食させたところ,羽化後の成虫においてINSV保毒率が75%~91%と高く, それらはハコベ苗等の健全植物にINSVを媒介した。また, 保毒成虫のINSV媒介率をペチュニアリーフディスク法を用いて調査した結果, 媒介率は89%~92%と高く, 山梨県に生息するミカンキイロアザミウマも高率にウイルスを獲得, 媒介することが明らかとなった。シクラメン圃場周辺の媒介虫の発生状況を調査した結果, トラップへの誘殺が6月に3000頭を越え, 本圃場周辺は媒介虫の増殖に適した環境であることが示唆された。INSV防除対策として, 防虫網の整備, 定期的雑草防除および薬剤による媒介虫防除等の総合防除体系を導入した結果, ハウス内への媒介虫の侵入やシクラメンえそ斑紋病発病株の大幅な減少が認められた。

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