関東東山病害虫研究会報
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ハスモンヨトウに対する昆虫病原糸状菌3種の混用効果
木本 紗帆信田 恵増田 俊雄江波 義成樋口 俊男廣森 創西東 力
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2007 年 2007 巻 54 号 p. 117-120

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抄録
3種の昆虫病原糸状菌 (Nomuraea rileyi, Paecilomyces fumosoroseus および Beauveria bassiana) を単独あるいは3種混合してハスモンヨトウ Spodoptera litura の幼虫に接種した。単独接種の結果から, N. rileyi は遅効性であるが, 最終的な死亡率は高いこと, 反対に P. fumosoroseus は速効性であるが, 最終的な死亡率は低いことがわかった。B. bassiana は病原性を示さなかった。これら3菌種の高濃度 (1×107分生子/ml) 混合液をハスモンヨトウ幼虫に接種したところ, 速効性と高い死亡率が認められ, 処理3~4日後に死亡した個体からは P. fumosoroseus が, 処理6日後以降に死亡した個体からはおもに N. rileyi が出現した。これらの結果は, N. rileyiP. fumosoroseus のそれぞれの弱点が相互に補完されたことを示している。昆虫病原糸状菌の特徴を生かした組み合わせによって, 防除効果をさらに高めることができると考えられる。
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