2022 年 17 巻 p. 39-53
本研究の目的は、小学生の外国語活動において構成的グループエンカウンター(以下SGEと表記)を実施することによって、児童の自己理解や他者理解、親和性を向上させ、そのことによって外国語活動の目標(「関心」、「慣れ親しみ」、「気付き」)の達成につながるのかを明らかにすることであった。東京都内の公立A小学校6年生95名を対象に、児童の人間関係およびコミュニケーションに関する意識を測定する人間関係に関する意識尺度を作成し、SGEを活用した外国語活動の介入実験授業の前後に質問紙を用いて効果測定を行った。また、外国語活動の目標についても、毎時間の授業後に児童に自己評価をさせた。その結果、人間関係に関する意識尺度の4つの下位尺度(「自己理解」、「他者理解」、「親和性」、「コミュニケーション・スキル」)の得点において統計的有意差が認められ、介入実験前より介入実験後の方が、全ての下位尺度得点の値が有意に上昇した。また、外国語活動の3つの目標に対する児童の自己評価も全項目において高い得点が示された。これらの結果に基づいて、外国語活動にSGEを活用する意義と効果について考察した。