協同と教育
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実践研究論文
臨床判断を意図した〔VRクリティカル看図アプローチ〕の検討
織田 千賀子加藤 睦美
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2023 年 18 巻 p. 75-92

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抄録

 〔目的〕今回,織田が開発した〔VRクリティカル看図アプローチ〕の教育プログラムが臨床判断能力を高めるための基礎となっているのか,検証を通して検討し,今後の授業の改善となる知見とすることを目的とする。〔VRクリティカル看図アプローチ〕とは下記の通りである。①教員が,生命が危機的(以下,クリティカル)な状況にある患者の静止画をVR(Virtual Reality)で起こしてビジュアルテキストとした。②学生が,既存の看図アプローチの方法に沿ってビジュアルテキストを読み解き,症例患者に必要な看護を検討する。〔方法〕②で学生が記述したレポートより,学びにつながった記述を抽出し質的記述的分析を行った。〔結果〕学生の学びは,9カテゴリー【患者の療養環境】【患者の観察の意義】【装着・留置物の目的や根拠】【患者の病態や治療方法の根拠】【情報と情報の関連性を考慮した判断】【リスクを考慮した観察・援助】【看護援助の方法・留意点】【情報と情報が結びつかない判断のずれ】【知識獲得の必要性】で構成された。〔考察〕STEP1:変換で患者と療養環境をイメージし,STEP2:要素関連づけで患者の状況・反応を観察・把握して何が起きているのか判断し,STEP3:外挿で患者の今後の経過などについて推論できていた。よって,臨床判断を高める方法の1つになっていたと考えられた。今後の課題として,看護実践につながる教育プログラムの修正を検討する必要があることが明確になった。

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© 2023 日本協同教育学会
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