教育学研究
Online ISSN : 2187-5278
Print ISSN : 0387-3161
ISSN-L : 0387-3161
特集 大学論の新たな地平を探る
大学論の原点 : フンボルト理念の再検討(<特集>大学論の新たな地平を探る)
金子 勉
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 76 巻 2 号 p. 208-219

詳細
抄録

日本の大学関係者の大学観に影響したと考えられるドイツの大学理念について検討する。ヴィルヘルム・フォン・フンボルトの「ベルリン高等学問施設の内的ならびに外的組織の理念」と題する文書は、大学論の原点である。研究と教育を重視することがドイツ的な大学観であると認識されてきたが、そのような大学理念はフンボルトあるいはベルリン大学から生じた形跡がないとする異論がある。そこで、高根義人、福田徳三、ヘルマン・ロエスレル等の大学論、ベルリン大学及びベルリン科学アカデミーの歴史、大学関係法令を手がかりとして、ゼミナール、インスティトゥート等諸施設の性質を考察した。科学アカデミーに所属する研究施設を分離独立して、これらを新設大学が教育上の目的に利用することが、ベルリン大学創立時の構想の核心にある。実際に、ベルリン大学令が大学と研究施設の関係を規定し、その規定が他大学に継承されたのである。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top