2023 年 90 巻 3 号 p. 435-447
本稿は、米国のカリキュラム研究者E. W. アイズナーの所論を検討するものである。本稿では、彼が従事したカリキュラム開発プロジェクト(ケタリング・プロジェクト)から主著『教育的想像力』へと至る過程を辿り、従来看過されてきた「教育的想像力」概念に着目することによって、彼のカリキュラム構成法における設計主義の側面を描き出した。このことから、カリキュラム構成における設計主義と創発主義は二律背反ではなく、教室文脈に根ざしたカリキュラム改善プロセスにこそ創発主義の要点があることを示した。