抄録
本論では,生徒指導の問題が頻発する,いわゆる「荒れた学校」を正常な状態に戻すために取り組んだ施策を検証する。当該校では,様々な手立てを講じて生徒指導上の課題解決に向けて取り組んだが,課題はなかなか解決できず,学校単独の取組だけでは解決困難な状況であった。そこで,保護者や関係機関との協力・支援体制を整えて「チームとしての学校」を機能させることが重要であると考え,学校現場にとってはこれまでタブーとされてきた警察組織の導入を試みた。具体的には,退職した警察官OBを学校生活支援員として学校現場に常駐させ,学校と協働して生徒指導上の問題行動の解決に当たる取組を実践した。手の施しようがないほど生徒指導上の課題を抱えている学校においても,警察官OBである学校生活支援員と協働してチームアプローチを実践していくことにより,問題行動の減少とともに生徒との関係性も向上し,改善に向かうことが事例として示された。