2020 年 23 巻 p. 67-78
これまで少年非行など問題行動の発生件数にはいくつかのピークがあった。文部科学省(2005)によれば,昭和26年に戦後第1のピーク,昭和39年に同第2のピーク,そして昭和58年には第3のピークがあった。時代背景によって非行の形態や状況は異なり,それぞれのピークには顕著な特徴や傾向があった。第3のピークでは,集団化した校内暴力が大きな課題であった。しかし,第3のピーク当時の児童生徒の状況及びそれに関する学校の取組に関する資料や記録は少ない。そこで,当時の中学校の状況を記録した日誌をもとに,校内暴力など問題行動の実態や教職員の取組を明らかにする。そして得られた教訓を振り返り活用することは,今後の生徒指導の充実や児童生徒の健全育成の推進など学校運営に寄与できるものと推論し提言する。