杏林医学会雑誌
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癌患者の細胞性免疫能の検討 : 主として術前反応について
中田 芳孝鍋谷 欣市花岡 建夫小野沢 君夫李 思元本島 悌司水沼 泰章伊達 靖渡辺 毅
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1979 年 10 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

近年, 癌の発生機序に関して, 宿主免疫能の低下が何らかの関与をするものであろうと考えられている。われわれの教室では癌患者の細胞性免疫能を知るため, phytohemagglutinin (PHA)皮内試験, purffied protein derivatives (PPD)皮内試験, 2, 4-Dinitro-1-chlorobenzen (DNCB)貼布試験を施行した。PHA皮内試験は非癌患者27例, 癌患者103例, PPD皮内試験は非癌患者20例, 癌患者224例について行い, DNCB貽布試験は非癌患者10例, 癌患者175例を対象とした。全例のPHA皮内試験結果を検討したところ, 非癌患者に比して癌患者の免疫能に低下を認めた。又, これらの症例においては癌の剔出以前においてのみならず術後もその免疫能の低下が著明であった。疾患別検討では膵癌患者の免疫能に低下が著明であったが, 乳癌患者ではかなり免疫能がよく保たれていた。胃癌の細胞性免疫に対する検査結果を進行度別に分類したところ, 第I期, 第II期ではその免疫能がよく保たれていたが, 第III期, 第IV期ではその低下を認めた。

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© 1979 杏林医学会
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