1979 年 10 巻 2 号 p. 149-154
我々は, 血液透析療法に関する基礎的, 臨床的検討を本学会誌に報告してきたが, 今回は, Kaprowらによって始めて報告された透析開始直後にみられる著明な白血球数の減少に着目し, 1) 1回6時間の透析における白血球数の経時的変動, 2)採血部位の相異による白血球数の比較, 3)透析膜への白血球付着の有無の3点について, 慢性血液透析患者10例を対象に検討した。その結果, 白血球数は透析開始後より減少し始め, 開始15分後に最低値を示し開始後120分ではほぼ透析開始前値まで回復した。これは主に好中球数の変動に基づく現象であった。この白血球数の変動は採血部位(肘静脈, 血液回路動脈側と静脈側)により殆んど差がなく, 透析膜への白血球の付着も白血球減少の原因と帰することはできなかった。今回の我々の諸成績から白血球の減少は, 透析を開始すると同時に体内で起こっている現象であることを明らかになしえた。