杏林医学会雑誌
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脳腫瘍内嚢胞液の生化学的分析
原 充弘
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1980 年 11 巻 3 号 p. 241-252

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抄録
30例の各種脳腫瘍内嚢胞液を生化学的に分析し, 嚢胞性脳腫瘍の特徴の一面を知る事が出来たので報告する。星細胞腫I∿IIでは総蛋白(T.P.), 総脂質(T.G.), 総コレステロール(T.Chol.)値は悪性星細胞腫より低値であり, 夫々6.0g/dl以下, 280mg/dl以下, 130mg/dl以下。又LDH値は500u以下でLDHisozymeはL_1, L_2, L_3分画が高い。星細胞腫III∿IVではT.P.5.0g/dl以上, T.G.280mg/dl以上, T.Chol.150mg/dl以上又LDH値は700u以上。頭蓋咽頭腫ではLDH値は800u以上。LDHisozymeではL_4, L_5分画が高く夫々13.5%, 40.5%。血管芽腫はT.G.80∿130mg/dl, T.Chol.50∿60mg/dl, LDH値は150u以下。又LDHisozymeは星細胞腫I∿IIに類似する。脳腫瘍内嚢胞液の成因は内容液と血清の蛋白分画及び電解質等の比較により, 血液・脳関門破綻による血清からの濾過産物が主因を成すと考えられる。
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© 1980 杏林医学会
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