杏林医学会雑誌
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総胆管離断ラットにおける肝細胞膜インスリンおよびグルカゴン受容体の研究
森 秀明
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1986 年 17 巻 4 号 p. 477-488

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抄録

閉塞性黄疸ではしばしば耐糖能異常を伴うことが知られている。その病態を明らかにする目的で, ラットの総胆管離断により閉塞性黄疸を作製し, 血中インスリン, グルカゴンと両ホルモンの標的臓器である肝細胞膜の受容体の面から検討した。また, 胆汁うっ滞による肝細胞膜の変化をみるために, marker enzymeのひとつであるNa^+, K^+-ATPase活性を測定した。胆管離断群では対照群と比較して, 肝細胞膜のインスリンおよびグルカゴン受容体の結合率の低下を認め, 原因としては, インスリン受容体では親和性の低下, グルカゴン受容体では主に受容体数の減少がみられた。また胆管離断群では, Na^+, K^+-ATPase活性も低下していた。閉塞性黄疸における糖代謝の異常には, 肝細胞膜の変化に伴うインスリンおよびグルカゴン受容体の変化が関与していることが示唆された。

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© 1986 杏林医学会
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