杏林医学会雑誌
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Bacteroides fragilis 由来β-lactam 系抗生剤耐性 Plasmid pBFSK1 の分子遺伝学的研究 : I. 制限酵素地図および Escherichia coli における安定性
森田 耕司宮野 昭弘林 瑞枝志賀 鑑時
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1986 年 17 巻 4 号 p. 531-537

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抄録

腸炎患者より分離されたペニシリンに耐性のBacteroides fragilis KHM027株からβ-lactam系抗生剤耐性plasmid pBFSK1を分離し, 分子遺伝学的解析を進めているが, 本稿では, pBFSK1の制限酵素地図, β-lactamase遺伝子領域およびEscherichia coli K-12株における安定性について報告する。分離されたplasmid pBFSK1の分子サイズは2.6kbであった。制限酵素による切断では, PstIとEcoRIがそれぞれplasmidの塩基配列中の1箇所を切断し, DraIとPvuIIがそれぞれ2箇所を切断することがわかった。またPstIサイトに他のplasmid DNAのPstI断片をクローニングしたcomposite plasmidにおいて, β-lactam系抗生剤耐性の挿入不活化が認められたことから, β-lactamase遺伝子領域がPstIサイト上にまたがって存在することがわかった。pBFSK1でEscherichia coli K-12株の各菌株を形質転換して得られたtransformantについてpBFSK1の安定性を調べた結果, 各宿主細胞内において極めて安定に保持され, 各種のβ-lactam系抗生剤に対する耐性も, 変化なく安定に発現されることがわかった。

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© 1986 杏林医学会
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