杏林医学会雑誌
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ヒトの三角筋の動脈分布について
東 昇吾
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1988 年 19 巻 1 号 p. 15-34

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抄録

当教室の研究の一環として,ヒトの骨格筋内の栄養動脈の分布に関する研究を進めている。本論文では,日本人成人25体50体側例の三角筋について,栄養動脈の起始部,分岐状態および本筋内の分布領域等について検索した。1)栄養動脈の起始部および分布状態による分類。I-A型:三角筋の前部筋束に前方から胸肩峰動脈(Ta)の枝が,中部および後部筋束に腋窩神経(N, ax)と併行して後方から後上腕回旋動脈(Chp)の枝が主に分布する。狭い分布領域ではあるが,後部の上部に肩甲上動脈(Ss)の枝が,下部筋筋束に上腕動脈(B)と上腕深動脈(Pb)の枝が分布する(44%)。I-B型:I-A型に前上腕回旋動脈(Cha)と肩甲回旋動脈(Cs)の枝が加わったもの(36%)。II-A型:I-A型からBの枝が欠如(0%)。II-B型:I-B型からBの枝が欠如(4%)。III-A型:I-A型から鎖骨下動脈(S)の枝が欠如(6%)。III-B型=I-B型からSの枝が欠如(10%)。2)TaとChpの分布領域による分類。T・C型:Taが前部筋束,Chpが中部および後部筋束(54%)。T型:Taが中部筋束にまで分布(32%)。C型:Chpが前部筋束にまで分布(14%)。3)栄養血管の分布領域はChp(60.7%),Ta(24.4%)で,他は狭い。栄養動脈の総本数は4本から8本で,5本(40%)と6本(36%)が多かった。1)の分類の左右同型は,男性は16体中5体,女性は9体中6体で女性の頻度が高かった。

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© 1988 杏林医学会
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