杏林医学会雑誌
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Stroke volume image法による左室逆流性弁膜疾患の評価 : Variable ROI法との比較
小野 彰史
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1988 年 19 巻 1 号 p. 85-93

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抄録

左室逆流性弁膜疾患の定量的診断を行なう目的で,gated心プール・スキャンによるstroke volume image法(SV image法)を考案し, X線心血管造影所見および従来より行なわれてきたvariable ROI法と比較・検討した。対象は左室逆流性弁膜疾患28例,正常対照者17例の計45例である。逆流の重症度はstroke count ratio (SC ratio=左室stroke count/右室stroke count)により評価した。SV image法によるSC ratioの値は,正常対照群=1.27±0.19(mean±S.D.),Sellers分類I度の群=1.59±0.20,II度の群=2.05±0.21,III度の群=2.82±0.73,IV度の群=5.04±0.27で,観血的に得られた逆流の重症度と良い相関を認めた(r=0.92)。Variable ROI法においても同様の傾向を認めたが,sensitivityおよびaccuracyの点でSV image法が優れていた。Variable ROI法は特に重症例において再現性の低下する傾向を認めた。SV image法は左室逆流性弁膜疾患の定量的評価法として,簡便かつ高い再現性および精度を有し,臨床的に極めて有用と思われた。

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© 1988 杏林医学会
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