抄録
47歳男性の右胸部に,49歳女性の左鎖骨部に,6歳男児の右肩にそれぞれ生じたヤマトマダニの皮膚寄生の3例を報告した。また,49歳女性例の刺入部位を走査型電顕下に観察した。3例ともマダニ刺入部周囲に紅斑がみられ,組織学的には真皮膠原線維の変性,リンパ球,組織球を主体とした稠密な炎症性細胞浸潤がみられた。走査電顕的観察では真皮に刺入された口下片および周囲膠原線維の変性が観察された。マダニ皮膚寄生は年々報告数が増加し,それに伴う合併症も注目されてきていること,皮膚寄生の治療は虫体を含む周囲皮膚の切除が望ましいことを述べた。