杏林医学会雑誌
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Human Menopausal Gonadotropin (hMG)律動的皮下投与法による非着床,着床周期の比較検討
丸山 圭子
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1990 年 21 巻 4 号 p. 429-436

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抄録

Humanmenopausal gonadotropin (hMG)律動的皮下投与法によって妊娠した無排卵症例のうち,経目的にホルモン動態を観察しえた14症例の着床15周期,非着床21周期,また別に自然排卵14例の着床14周期,非着床15周期についても同様,ホルモン動態を中心に臨床的事項を比較検討し,以下の結論をえた。卵巣過剰刺激症候群の頻度は着床,非着床周期間に有意の差はなかった。Luteinizing hormone (LH), follicle-stimulating hormone (FSH), progesterone (P), estradiol (E_2)は,いずれも黄体期後半まで非着床周期の方が高値を示した。特にP,E_2は自然排卵周期より著しく高値を示した。しかし,P/E_2値は着床周期の方が高値を示した。これらより,着床にとってP,E2値の高値よりP/E2値の高値が重要な意義をもっと推定された。また,これらのホルモンデータより多数の卵胞発育と黄体形成が推定されるが,多胎発生率が24例中皆無であった点よりみて,実際排卵しているのはごく少数にとどまっていると考えられた。

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© 1990 杏林医学会
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