杏林医学会雑誌
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家兎関節軟骨の分化・成熟過程におけるレクチン染色性の変化
池田 仁
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1991 年 22 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

家兎関節軟骨の分化,成熟過程における複合糖質の変化を,レクチンを用いて光顕的および電顕的に検討した。胎生15,21,28日,生後1カ月,3カ月,6カ.月,1年,2年以上の個体より大腿骨下端関節軟骨をそれぞれ採取した。光顕観察には凍結切片を,電顕観察にはLowicryl K4M包埋超薄切片を作製して,それぞれレクチン染色を行っった。用いたレクチンは,ビオチン化したWGA, RCA, ConA, PHA-E4, PHA-L, DSA, ECA, SBA, DBA, HPA, GS-1, PNA, UEA-1, Lotusの14種類である。光顕的にはavidin-biotinyl peroxidase complex (ABC)法,電顕的にはstreptavidincolloidal goldにて標識した。分化および成熟過程の全期間にわたり染色性が認められたレクチンは,WGA, RCA, ConA, PHA-E4の4種類であった。胎生期および幼若期にのみ染色性が認められたレクチンは,PHA-L, DSA, ECAの3種類であり,これらはGalβ1→4GlcNAc構造を有する複合型糖鎖に親和性が強く,このような糖構造が関節軟骨の形成過程において重要な意義をもつことが示唆された。

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© 1991 杏林医学会
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